NHKスペシャル マネー資本主義 第2回“超金余り”はなぜ起きたのか? 〜カリスマ指導者たちの誤算〜

見たので内容を書いてみた。

参考

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サプライムローン問題などがきっかけで起こっている今の大不況。

その原因は「超金余り」だった。



その「超金余り」の状況を作り出したと言われる人間がいる

アラン・グリーンスパン。FRB元長官。

アメリカの繁栄を築いたと讃えられていたが、今では金融危機を招いた張本人として叩かれまくっている。

空前の金余りを放置したというのだ。



サブプライムローンは、余ったお金達が更なるお金を求めて流れこんだ住宅ローンとも言える。

無謀な貸し付けが横行していた。

ウォール街にローン債権を送っていれば、一定の額で買ってくれた。

ローンのリスク(爆弾)をパスし続けるゲームのような感覚だった。

しかし、その爆弾はついに爆発した。



そもそもなぜお金が余って、 今回のような危機がおこったのか

グリーンスパン。彼は市場への介入は極力抑える理論を持っていた。

過去、見事な金利操作で相次ぐ危機を乗り切ってきた

  • ブラックマンデー
  • LTCM破綻

絶妙なタイミングでの金利下げなどの華麗な政策で

彼は、ヒーローとなった。


しかしグリーンスパンが失策する。

2000年のITバブルだ。

また金利を下げた。しかし、その金利をながらく放置したことで借金する人が増えた。

このとき「金余り」が発生、景気が過熱した。

これが住宅バブルのきっかけ。


しかし、この事態をグリーンスパンは過小評価した。

金融機関が危険な金融商品を販売しているという警告もスルーした。

当時、グリーンスパンは金融の神のような存在だった。

「グリーンスパンが動かないなら 大丈夫」そんな空気がひろがり、

金融のモラルハザードが起きた。



もうひとり、原因とされる人物がいる。

グリーンスパンの前のFRB議長ロバート・ルービン。

ドル高政策により、アメリカにが集まる仕組みをつくった人物だ。

ドル高政策でどうして、アメリカにお金が集まるのか。

仕組みはこうだ。

例えば日本人がドルで外貨預金すると

  • ドル高=預金が増える
  • ドル安=預金が減る

となる。

ドル高になるならば、ドルを買っておいておいた方がいい、と思う人が増える。

つまりドルを買う人が増える、というわけだ。


ルービンが就任する前のクリントン時代、

落ち込んだ製造業を復活させる目的で輸出を増やすためドル安を容認する方向にした。

しかし輸出は増えず、製造業の復活はならなかった。

そこでルービンが長官就任。

経済の主役を製造業から金融に舵を切った。



最初はドル高を期待するという発言だけの口先介入のみだった。しかしこれが効果がなかった。

なぜ「口先介入」だったのか。

それはルービンはゴールドマンサックスの会長まで勤めた男。

市場介入は限定された効果しかないことを知っていたのだ。


政策は効果を出さないまま、どんどんドル安が進んだ。日米自動車貿易摩擦のころだ。

世界中でドル安が進むなか、最高に苦しんでいた国があった。

日本である。1$=79円75銭。円高で苦しい日本はドル高を強く求めた。

「アメリカの国債売っちゃうぞ」と脅した。


そのころアメリカは国債を発行しまくっていた。

それを大量に買っていたのは日本。

日本が売り出したら価格が下がってしまう!


そのような圧力のなか、ついにルービンは市場への「直接介入」をはじめた。

円売りドル買い。

1995年、ついに1$=100円まで戻した。


しかしこのドル高の影響でアメリカへお金がどんどん流れてきた。

アメリカの株価がうなぎ上りとなり、市場が加熱した。

その後議長がグリーンスパンとなり、金利下げ政策でますます加熱。

万事が上手く行くという空気になった。

明らかに異常だったが、だれも心配する人がいなくなっていた。



2004年、あまりのバブル感にグリーンスパンはいよいよ重い腰をあげる。

短期金利を上げたのだ。

銀行はFRBからお金を借りて、市場にお金を流す、というシステムになっている。

FRBが短期金利を上げれば、銀行から市場へ出す金利も上がる。

短期金利にさらにコストを上増して、長期金利を付けるので、当然長期金利も上がる・・・はずだったのだが、ここで想定外のことが起こった。



長期金利が上がらない!!! FRBが市場をコントロールできなくなったのだ。



なぜか!?それは今までに無かった種類の金がアメリカに流れ込んでいたのが原因だった。


それは「日本の金」だった。


ミセス ワタナベ。日本の一般主婦投資家の総称だ。FXを駆使した主婦がアメリカの市場を動かす一大勢力となっていた。

膨大な日本の家計のマネーがアメリカに流れ込んだ。


その背景には「0金利」という日本の超低金利政策があった。

低い金利の国でお金を借りて、高い金利の国で運用する。そうすれば自動的に儲かる。

知っていれば当然の発想。

世界中の人々が日本で金を借りて、アメリカで運用した。

これを「円キャリートレード」という。ピーク時には100兆円規模の市場となった。


このような「円」も含め、世界中からお金がアメリカに流れたため、アメリカの銀行はもはやFRBからお金を借りなくても、独自にお金を集めることが可能となっていた。

これではFRBがいくら金利を上げても効果がない。


糸の切れた凧のように、アメリカの経済は遥か上空へ舞い上がり、そして地に落ちた。



不況を呼んだ「超金余り」、それはアメリカの政策だけのせいだろうか。

これは世界の構造的問題ではないか。

お金が欲しいという欲望、個人で思うにはとくに問題はない。

しかしその思いが集まり、巨大な流れを作ったとき、暴走を始める。


今世界は、この流れを5兆ドルという金を使って変えようとしている。

果たしてどうなるのか?!


それは今から我々が目の当たりにする現実なのだ。