社長に学べ!おとなの勉強は、終わらない。 - 原田永幸さん(元アップルコンピュータ社長/現日本マクドナルド社長)

ほぼ日刊イトイ新聞 社長に学べ!おとなの勉強は、終わらない。 - 原田永幸さん

いままで何人か社長さんの話を聞いたりしたけど
経営者っていうのは単なる職種の1つなんだなとわかってきた。

受付とか経理とかエンジニアとかレジ打ちとかと一緒。

なんか特別な立ち位置のイメージだったけど、そうじゃないんだ。

だから転職してまったく違う業種の社長をやったり、掛け持ちしたりするんだなぁ。

必要なことは絵で伝える、というのはなるほどとおもった。

なんでも文字で伝えるのは大変効率が悪い。文字数が多いだけで読む気しないですからね。

以下メモ

「仕事もできて趣味もできて、
 休暇も取って家庭も大切にして、
 自分のシーンも
 大事にするというのがかっこいい」

と若い人に教えていかないと、
戦後の経済復興の頃から
一貫してつづいている
「生産性向上」だけの管理をおこなったら、
もう、会社はおかしくなりますよ。
成果の規準は
「労働時間」ではないんです。

休みもないと、
ひらめきが出ないんですよ。
私がいちばんひらめくのはトイレですね。
私は昔、エンジニアだったでしょう?
エンジニアの時代というのは、
特にそうでした。
...

トラブルが出た時の原因究明というのが
ほんとうにむずかしいんです。

...

「わかった!」と思ってひとつ直すと、
違うところにバグが出てきたりするんです。

その原因を、三日間ぐらい
究明できない時があるんですけど、
ヘンな話、トイレで座って、
スッと出る瞬間に、ポッと解けるんです。
解くのは、一瞬ですもんね。
私もそうでしたが、
エンジニアはトラブルがあると
「おかしいなぁ、おかしいなぁ」
と言うんです。

だけど絶対に電気はおかしくない。
人間がおかしいんだ(笑)。
人間って愚かなんです。

その愚かさで、
複雑に複雑に考えていくのですが、
究明できる時には
非常にシンプルな間違いをしていた、
とわかるわけです。
うちの社員にもよく言うんですけど、
ビジネスでは、
市場調査も大切ですが
市場調査をして分析して、
それだけで戦略を決めるなんて
やめたほうがいいんです。

そんなもので戦略が成功するなら、
どこの会社だってうまくいっているから。
ビジネスも、麻雀で言えばモウパイ。
ひらめきが大切なんだ、
と私は考えていますからね。
市場調査や分析は
ひらめいたものの検証に過ぎない。
俺たちのビジネスチャンスは
どこにあるんだ?
そのチャンスをモノにするためには
どうしたらいいのか?

それを裏打ちするためのデータは、
添付資料として、もちろんつけるべきなんです。
ただそれも
「質問が来たらお見せできますよ」
という程度のものです。

チャンスとゴールを明確にする。
経営はこれしかないですよ。
世間話なら誰でもいくらでも言えるんです。
ところがそれでは未来は見えない。
未来はビジョンで示さないといけない。

この機密事項はすべて図になっていますが、
だから何千人にも同時に伝えられるんです。
絵にして理解すれば何千人の行動が変わる。
計画はできてしまえば
誰が見ても当たり前のことです。
だけど
「その当たり前のことを
 みんなに実行させる」
というのが次の戦略になります。
そういうさまざまな人の中で、
目的を伝えて、
自分でルートも手法も考えて、
必ず結果を出すというのが
経営者だと思います。
ひとりひとりが
きちんと目的を達成できるように
サポートしてあげるのが
マネージメントなのだと考えています
ひとりひとりの役割は、
職位ではなくて職種なんです。
「位」ではないんです。
たとえば社長の役割は
全体が機能して
正しい方向に行くように考えることです。
その絵は社内全員、
各店長に至るまでぜんぶに配りました。

給料の考え方についても配りました。
「公平に給与を分配する」のではなくて、
「いい仕事をして、
 いい成果を出して、
 ご褒美は自分でもらう」
という姿勢であってほしいからです。
マニュアルは
「バカの大量生産だ」
みたいな発言もありますが、
マニュアルはバカを作るんじゃなくて、
最低限の基礎なんです。
一見易しいと思える
基本的な挨拶でさえ、
やっぱり言えないんです。

だからマニュアルで
覚えなければならなくて、
それ以上は自分のスマイルと
自分のアドリブでやるべきでしょう。

お客さんが困っている時……
たとえば、赤ん坊がおしっこをもらしました、
小さいお子様が飲みものをこぼしました。
パッと行って手伝って、
新しいものを持ってくる。

これはもう、
個人のホスピタリティーですよ。
規則って、
人を自由にするために作るべきでしょう。
上司がアホだからこそ
自分で仕事のできる余地がある。
「ブランドはイメージだ」と、
ただかっこいいコマーシャルを作ればいいと
思う人もいるだろうけど、
それはぜんぜん違う。

ブランドとは総合的な体験です。
だからわれわれのビジネスでは、
ハンバーガーレストランというのは
サービス業ですから、
待ち時間とかについては、
うるさいぐらい、
毎日議論をしていますよね。
外食産業というのは、
二七兆円あるんですよ。
百人にひとりだけ来てくれただけでも、
二七〇〇億円ですから、
とてつもなくデカいんです。
ビジネスの原点は、
世の中のトレンドがこうなるから
ついていくぞというものではないんです。

トレンドを作っていく、
世の中を作っていくというのが
ビジネスですから。
どんな商品も、
まずは商品力や技術で市場を作りますが、
その次にはかならず価格競争に入りますよね。
その次に、付加価値の戦争になってきます。